数か月かけて684ページを積み上げました。ですが機械的に棚卸ししてみると、価値があったのは実質4ページ前後。これは、その事実をAI自身に突きつけさせ、立て直した記録です。
課題
自社運営のAIニュースメディアで、AIによる記事自動生成パイプラインを数か月にわたり運用していました。「まず量を出し、当たったページを伸ばす」という前提で続けた結果、ページ数は684まで拡大しました。ところが検索エンジンからの自然流入はほとんど発生せず、更新を続けても数字が動かない状態が続いていました。
やっかいだったのは、症状が「なんとなく伸びない」という曖昧な形でしか見えないことでした。個別のページを目で見れば、それぞれは一応の体裁を整えています。どのページが原因なのか、そもそもサイト全体のどこが壊れているのかを、一人が1ページずつ確認して突き止めるのは現実的ではありません。684ページを人力で棚卸しするだけで数日が消え、しかも見落としが必ず残ります。
診断
そこでClaude Codeに全ページの棚卸しを実行させ、主観を一切挟まず機械的に採点しました。評価軸は語数・重複度・インデックス状況・内部リンク構造の4点です。
結果は明確でした。684ページ中680ページ超が、薄い自動生成スタブだったのです。平均語数は564語で、内容も実質的に同型のテンプレートの使い回しに近いものでした。さらにGoogle Search Consoleを確認すると、本来サイトの中核となるべきハブページが一度もクロールされていないことが分かりました。クロール予算が、価値のない680枚の薄いページに食い潰されていたのです。
診断の過程で、もう一つ根の深い不具合も見つけました。H1タイトルが壊れる現象の原因を追ったところ、CDNのメールアドレス難読化機能が、バージョン表記に含まれる「@」を自動でHTMLに書き換え、タイトルを破壊していました。目視で見つけるのはほぼ不可能な種類の不具合で、「AIに全ページを疑わせる」という設計が効いた場面でした。
打ち手
- 薄いページ258本を検索対象から除外(noindex指定)し、クロール予算を主要92ページに集中させました
- 残す価値のあるページを、平均564語から1,120語級の高品質版へ書き換えました(重複H1の解消・FAQの構造化データ付与・内部リンクの再設計)
- サイトマップを再送信し、主要ページの個別インデックス申請を行いました
- 「新規量産の停止・既存の底上げ」という方針を、採点ルーブリック(プロセス30点+品質40点+データ30点、70点未満は差し戻し)として運用に固定しました
結果
- 検索エンジンに評価されないページ258本の除外を、1サイクルで完了しました
- 主要ページを1,120語級へ再構築し、H1破壊バグの原因を根本から取り除きました
- 以後の全コンテンツ制作が、採点ゲート(70点未満は自動差し戻し)を通過しないと公開されない体制へ移行しました
- 施策後の検索流入の回復は現在も観測を継続しています(具体的な回復幅はサイト固有の条件に左右されるため、ここでは断定しません)
貴社業務への示唆
AIで量を作ることは簡単になりました。難しいのは、作ったものの質を、人手をかけずに確かめ続けることです。この監査でしたのは、AI自身に全ページを採点させ、基準に満たないものを機械的に差し戻す仕組みをつくることでした。同じ仕組みは、御社の反復業務にもそのまま移せます。「たくさん作ったのに成果が出ない」の多くは、検品の仕組みが無いだけです。そこを、最後まで一緒に作ります。